季節と体・心(2、初夏~秋)

身体のしくみ

前回(冬〜春)の続きです。

 

春にゆるんで動きが良くなった骨盤は、後側が上昇するような動きを見せます。

つまり、お尻が上がって、腰が反るような格好です。

すると足腰が軽くなり、とても行動的になります。

これが春の後半から初夏にかけての体です。

春に夢見たことを、今度は実際の行動に移したくなるのも4月頃からじゃないでしょうか?

 

しかし、春に上手にゆるみを得られなかった人は、体と心のバランスが乱れがちになります。

お腹のゆるみが悪い人は感情の高ぶりが抑えられなくなったり、5月病というのもあります。

さらに梅雨の息苦しい時期になると、気分が低迷する人、体調が悪くなる人が増えます。

 

春の後半の腰の反りは、やがて胴から胸の反りへと波及していきます。

そうしてお腹も胸も開き、内臓の働きはよく、呼吸も強くなります。

体の弾力がある人は益々活発に活動できるのですが、そうでない人は、梅雨時期の湿気にやられ、呼吸器や泌尿器、消化器などが参ってしまいます。

当然、夏の暑さにも弱くなります。

つまり梅雨や夏の時期の体調も、元をたどれば春の時期にうまくゆるみを得られたかどうかが影響している、ということなんです。

 

この頃から汗の量も増えてきます。

発汗は重要な排泄活動、つまりデトックスです。

この時期は体(内臓)もそういう排泄モードになっているものです。

そんな時期に、逆に食べることに一生懸命になっていると、内臓には余計な負担がかかってしまい、排泄も中途半端になってしまいます。

そして夏バテも起こしやすくなります。水の飲み過ぎも要注意の季節ですね。

 

自然に汗を出せて、胸が開いて呼吸も強くなっていれば、ある程度の暑さも平気で過ごせます。

だから本来夏は食べ過ぎず、エアコンで冷え過ぎず、ということに気をつけてさえいればいいのです。

ただ、その食べることと、冷やさないことというのが、現代の生活ではなかなか難しいようです。

夏も後半のお盆の頃になってくると、食べ過ぎ飲み過ぎ、それから汗の引っ込みの影響で、調子を崩す人が多くなってきます。

 

秋になるとその兆候は更に強くなります。

腰~背中のだるさを訴える人も増えますが、多くは腎臓の疲れです。

冷え、汗の内攻、それから食べ過ぎ飲み過ぎなどの影響が多いのですが、汗の引っ込みは胃酸を強め、余計に食欲を増加させる傾向もあります。

「食欲の秋」の正体は、胃酸の出過ぎとの説もあります。

 

夏の終わり~秋の腎臓の疲労は、腰の捻れを伴います。

そのため腰痛も増えるし、捻れが上に及ぶと背中、首、喉、頭部・耳や顎などの異常に、下に及ぶと膝や股関節の痛みにつながります。

また、捻れると血圧も高くなる傾向があります。

 

この頃には空気の乾燥も強くなってきて、水分補給のことも意識すべき時期です。

 

 

大雑把な説明ですが、このような一年を通しての『流れ』が、体の中にあるのです。

季節の変わり目に体調を崩しやすいのは、その変化に体がついていけないからです。

しかしその時期の症状を通して、ついていける体に改造しようとしているのです。

そうしないと、次の季節に疲れを持ち越して積み重なってしまい、さらに鈍い体になってしまいます。

 

季節の変化が体に厳しく感じられる事もあるかもしれませんが、実はこれらの変化に毎年さらされることで、私達日本人は瑞々しく、感性豊かな心身を保つことができるのです。

季節に応じた過ごし方や、季節に合わせた健康法が大切な理由はそこにあります。

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