奇跡の◯◯、伝説の◯◯

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以前、あるニュースサイトを見ていましたら、「達人」と呼ばれる60歳の古武術家が近年流行している総合格闘技の大会に出場し、その実力が注目されていたものの、たった15秒であえなくダウンしてしまった・・・という記事を見つけました。

もちろんこの「達人」さん、武術の師範であることは事実だし、その世界で修行を積んできた人であることは間違いないんだと思います。

でも、たとえ自分で「達人」と言っているわけではないとしても、そういう呼ばれ方をし、そういう立場で注目を浴びる前提でこういうイベントに登場する、得意気に事前インタビューを受けている・・・その時点でちょっとどうかな??という気がしないでもありません。

 

まぁそれはともかく、「◯◯◯の達人」、「伝説の◯◯◯」、「奇跡の◯◯◯」・・・

こんなふうに言われているものは、ほとんど信用できるものじゃないですね。

 

所詮宣伝のため、注意を引くために付けられた言葉ですから、とても真に受けられる言葉ではありませんが、それでもそういう「伝説」的なものが好きな人は多いようですね。

著名な武道家・武術家にはそのような本当か嘘か分からないような伝説が数知れずあるものです。

 

整体の世界でも、似たような話が多くあります。

具体的な事例は誤解を招くのであまり書かないでおきますが、でもそれは、もしかしたら本当にあったことなのかも知れません。

 

ただ何を学ぶにしても、活用するにしても、大事なことは、冷静に事実を見極めること、これに尽きると思います。

それが一人のカリスマ的人物のみではなく、他の人にも再現可能なことであるかどうか。

もちろんそのためには修行が必要ではありますが、そうすることで他にも同じように出来る人がたくさんいるかどうか。

そしてそのことを、外部の人間も認めているかどうか。

 

たとえば整体の話でいえば、指導者がほんの一瞬手を触れただけで、立ち上がる事もできないほどに体調を崩していた人が歩いて帰れるようになってしまった、というような逸話があります。

これはもしかすると、本当にあったことなのかもしれません。

ちょっとした言葉がけによって相手の「動けない」という思い込みを開放したと同時に、手を触れることで「自分は大病人であるという暗示」を解くことに成功したのかもしれません。

 

しかし問題はそれが本当であっても、再現できなければ意味が無い、というか使えないのです。

そしてそれを再現できない以上、そのカリスマ的人物の弟子を名乗っていたとしても、その人とは全く別のレベルの人物でしかありません。

 

しかしもっと危険なのは、その弟子を名乗る人達によって、カリスマ的人物の逸話がデフォルトされてしまうことです。

話が何倍にもふくらんでしまい、事実でないことが事実として広まっている、そういうことがとても多いのです。

多くの「伝説」「奇跡」というものが、そうやって出来上がってしまったものなのではないでしょうか。

 

そしてその伝説や奇跡の規模が大きければ大きいほど、その弟子を名乗る人達の価値も高めることになります。
(そんなものは本物の価値ではないですが。)

しかも、その伝説を作ったのは過去の偉人であり、自分ではないですから、責任を負う必要もないのです。

 

さらには、あくまでも過去の偉人の伝説を持ち上げているだけですから、自分自身の「自慢話」にはならないのです。

逆に師をあがめる謙虚な姿勢にも見えますから、非常に都合がいいんです。

困った時には「私はまだ未熟ですから」と逃げればいいのだし。

 

そんなわけですから、とにかく伝説や奇跡をやたらと持ち出す人、自分の師匠となる立場の人を、やたらと持ち上げるには気をつけたほうがいいでしょう。

 

苦しい時には、伝説や奇跡にすがりたくもなりますが、そんな時こそ、実は要注意なんです。

そんな時こそ、現実的に物事を見極めることに留意すべきだと私は思います。

 

 

以前、ある武道の教室に通っていた時に、そこの先輩がこういうことを言っていました。

「この武道は、咄嗟の時に自然に身体が動くようになるための修行だ。
だから真面目に修行していれば、地震が来ても被害に遭わないし、崖から落ちても身を守る姿勢を自然にとれるようになる。岩が山から落ちてきても無意識のうちによけられる」と。

しかしその先輩は後日、路上で酔っぱらった若者とケンカをして重症を負い、長期間入院することになってしまったのです。

「自然に身を守る」以前に、酔った若者とケンカをするというような恥ずかしい有様。

私は呆れて言葉も出ませんでしたが、そのような伝説に飛びつき、過信するような人ほど、そんなことをしでかしてしまうものなんだな、とその時思ったものです。

 

ともかく「ゴッドハンドであらゆる病が消える」「潜在意識のパワーで全ての悩みが消える」・・・そのような仰々しい言い方をしているものには、じゅうぶん注意したほうがよさそうです。