雪かきの達人

昨日、少しだけ駐車場の雪かきをしていました。

大した雪の量ではなかったのですが、車の上に2日分の雪が積もったままになっていたので、それを地面に落とすと、結構な量になりました。
その雪を、スコップで駐車場の隅へと寄せます。
作業をしていると、同じ駐車場を利用している若い男性がやってきました。
同じように車の上の雪を払い始めたのですが、ふと見てみると何だか要領が悪い。

車の上の雪は、専用のワイパーみたいな器具で一気に落とせるのですが、彼の様子を見てみると、表面の雪を散らしてばらまいているだけのように見えたのです。

もっとワイパーの先をグイっと雪の中に差し込んで、思い切り押すなり引くなりすれば、まるで体育館の屋根の雪がごっそり滑り落ちる時のように、一気に雪を落とすことが出来るのに・・・

どうやら、腕の力だけで作業をしているような感じでした。
それではワイパーが深くまで刺さらないし、しっかり引いたり押したりもできません。
私には、これは経験の差だけでなく、体の使い方の違い、或いは体そのものの強さ、構造の違いのように見えました。
腰に力がないのか、腰の力を使うとか、全身の力をつなげるとか、そういう感覚がわからないのだろう、と。

雪国の高齢者達の雪かきテクニックには、時々驚かされることがあります。
腰の曲がった、体の小さいお婆ちゃんが、スコップを持ったとたんに別人のようになったりするのです!

山のように積み上がった雪にスコップを差し込んで切れ目を入れ、まるでカステラを切り分けるときのように、きれいな四角形の雪の塊をすくい上げる。
と思ったら、特に反動もつけずに、ヒョイッとさりげない動きで、遠くの雪捨て場にその塊を飛ばしたりします。
しかもその命中率が高い!

これを下手な人がやると、放り投げた瞬間に塊が崩れてしまい、せっかくすくった雪をその場にばらまいてしまいます。
または、投げようとした瞬間にスコップを裏返してしまい、塊を落としてしまう。
雪を遠くに投げるには、体の捻りの力と共に、弓のしなりのような前後運動が関わってきます。
見た目は違うけれど、野球やゴルフのスイングにも似た仕組みです。
だけど、野球やゴルフよりも、もっと動きは小さくなります。
だからこそ、それは腕の力ではなく、胴体の奥、背骨の力が必要になるわけです。

その力をうまく使えない人は、つい腕の力でスコップを振り回すような動きになってしまい、結局雪をばらまいてしまいます。
思い切り振りかぶって、その反動を利用して投げようとすると、そうなります。
昨日駐車場で見かけた若い男性も、腕力は私より多分強いでしょう。
だからそんな効率の悪い雪かきの仕方でも、作業スピードを速めればそれで済むのかもしれません。
だけど、その表面の筋力が衰える年齢になってからはどうなるか・・・

スコップを持った途端に別人になるお婆ちゃんのようには、いかないでしょうね。

生活スタイルが全く変わった現在と昔とを比べて、それを嘆いていても仕方ないのかもしれませんが、一世代違うだけで、随分と人々の体の様子は違ってきているのは事実です。

何十年も前の整体法や健康法、体育法が全く通用しないことが多いのも、無理はありません。

それを踏まえて、私達は人の心身を見て行かなければならないのだと思います。