身体の衰えと腹

体と心の話

人の体は、弱ってくるとだんだん縮んでくる傾向があります。

背中が丸くなってくるのもその一つ。

よく言われているのが、背骨の間が狭くなってくる、つまり椎間板が縮んでくるというのがありますが、実際には縦方向に縮んでいくだけではなく、弧を描くように丸まっていく傾向のほうが強いです。

そしてこれは、お腹を中心に丸くなっていく、つまりお腹が縮むのです。

ヘソに向かって縮むようになっていきます。

 

足が伸びなくなってくるのも同じです。

足そのものが縮んでいくというよりも、ヘソに向かって体をまるめていくように、膝を抱えるような姿勢になっていくのです。

これはまるで、お腹の中の胎児のような姿勢に似ていますが、やはりその要となるのはヘソで、胎児はヘソから全てを吸収していますから、ヘソを中心に丸まっているわけですね。

生まれてからは肺や消化器が独自に働き出しますから、ヘソの生活からは離れて行くわけですが、やがて呼吸器、消化器等が弱ってくると、またヘソに向かって体が縮んでいく・・・

しかしもうヘソからは何も吸収できませんから、その身体は寿命を迎える・・・これはあくまでも仮説ですが、ともかく人の体がヘソに向かって縮んでいくというのは確かです。

 

ともかくお腹、特にヘソというのは、その人の体の中心部です。

だからこそ、ヘソの周辺には、体の様々な状況が集約されていると見る事ができます。

 

これは心理的な面も含めてです。

心と体は一つですし、体は心の表れだからです。

通常、心を表すのは言葉だったり表情だったりしますが、それらは嘘をつくこともできるのです。

ところが、中心として体を支えている腹はごまかすことができない。

だから正直に表れるし、自分の意識では気づいていないことさえ表しているのです。

 

 

さて、難しいことはさておいて、このヘソの周りを順番に押さえていって四便な緊張をほぐすだけでも、体が随分と軽くなるのを感じてもらえるはずです。

まずお腹の緊張が取れるだけで、呼吸が深く入ってくるようになります。

横隔膜の動きがよくなるからです。

丹田の訓練とか、腹式呼吸の訓練法などで意識的にお腹を動かしたり、力を入れたりするものがありますが、そもそも力がうまく抜けていないと、複式呼吸など無理なのです。

そして、その訓練法そのものが、実はお腹に力を入れて緊張させてしまっている、そういう訓練で却ってお腹を固くしている人を見た例も多いです。

 

それはともかく、腹は自然に広がっていることに超したことがありません。

腹の底から笑ったり泣いたり、本当がそういうことが理想なのでしょう。

まぁそうは言っても、誰もが多少は腹に何かを抱えて生きているのが現代社会というものでしょうし、それが多少あるからこそ、人間らしくていいのかもしれません。

ただ、本当は抱えなくていいものまで腹に抱えている人が多くて、それで腹を固めて、縮ませてしまっている、そういう人が多いように思います。

 

特に、子どもの場合はお腹の固さが様々な体調の不良として表面化しやすくなっています。

それは大人に比べて、腹にこらえる力がまだ育っていないため、キャパシティが小さいのです。

だから感情の抑圧が腹に塊をつくり、そこから様々な病気という形で表れていくのです。

例えば、喘息、アトピーなどもそうです。

これらの症状の子は、間違いなくお腹のある部分が固くなっています。

その固さが一定以上になった時に発作を起こしたり、症状が激しく出たりします。

 

そういうわけですから、子育て中のお母さん達にも、お腹のことをもっと知って頂けたらと思います。

愉気法」というものによる言葉を越えたコミュニケーション、より深いスキンシップについても理解していただければと思います。

 

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