「のたれ死に」の覚悟

「やりたいことをやれずに生きていく位なら、のたれ死にしたほうがマシだ!」とか、
「これでダメだったら腹を切る!」とか、
そんな威勢のいいことを言う人が時々います。

私も、そんなことを言っていたことがありました。
で、自分を含めて、そう言っている人で、結局やりたいことができなくなっても、のたれ死にした人を見たことがないんですが、まぁこういう言い分は、あまり真に受けないほうがいいのでしょう。
そもそも「のたれ死に」ってなんだ、っていう話ですよ。

現代日本ではまずあり得ない死に方ですよ、実際には。
切腹をする人もいない。

そんな言葉を使う時点で、本気で「のたれ死に」や切腹をするつもりなどないんです。
その場の勢いで言っているのかもしれません。

あるいはうまくいかない自分をごまかすため、「それだけの覚悟があるんだぞ!」と周りの人にアピールしているのかもしれません。

周りの人への言い訳かもしれないし、自分自身への言い訳なのかもしれません。

「今はうまくいっていないけど、それだけの覚悟があるんだから、許してもらえるでしょう?」みたいな感じで。
ひどい場合は、「それだけ本気で覚悟をしているんだから、自分の『潜在意識』はやがて、夢を叶えてくれるはずだ」とか、「これくらい本気だから、神様が・・・」なんていう、他力本願な思いが潜んでいたりもします。

 

私もそんなことを言いながら、ダメになりそうだった経験があります。

それまで、「これでダメなら・・・」なんていう命がけで臨んでいたつもりでした。

しかし、いざ「もうダメだ」という状況になった時、私は腰が抜けちゃったんですね。
お恥ずかしい話ですが・・・

腰が抜けて、その場で座り込んでしまったんです。

で、頭がクラクラして・・・ドラマとかのシーンでありますよね、何かショックな出来事に遭遇して、気絶して倒れ込んでしまうやつ、あれに近いです。

 

今考えてみると、全然、覚悟なんてできていなかったわけです。

その時、遠のいて行きそうな意識の中、その短い時間の間に、いろんな思いが頭の中を駆け巡りました。

心身喪失状態って、こういう感じなんだな・・・とか、こういう状況に陥った人が、衝動的に命を投げ出したりしてしまうんだな・・・とか。

まだ少しだけ、冷静さが残っていたのでしょう、そう考えた瞬間、「ヤバい!」「恐い!」と私は思ったんです。

多分、少し震えていたと思います。

これまたお恥ずかしい話ですけど、「これでダメなら、のたれ死にだ!」などと威勢のいいことを以前は考えていたくせに、本当にダメになったら、「いやだ!恐い!のたれ死になんか嫌だ!」なんて思って、震えてるわけです。

で、その後落ち着いてようやく、「のたれ死に」だなんて、アホなことを考えるのはよそうと、そんな上っ面だけの覚悟だの何だの、そんなことにこだわるのはやめよう、と思えるようになりました。

 

そもそも、これでダメならおしまい、なんていう時点でおかしいんです。

「これ」でダメだったら、また違うやり方をすべきですよね。

それを「のたれ死に」だなんて、自分で先に進むことを拒否しているようなものです。

命がけ(のつもり)で成し遂げたいことに対して、一つのやり方がダメならやめる、だなんて、それ自体がもう、本当に覚悟なんて出来ていない証拠です。

今までと同じことしかやらない、今までやったことのないことにはチャレンジしたくない、って言っているのと同じです。
それを「のたれ死にする覚悟で」なんていう威勢のいい言葉で隠しているだけです。

そんなこと考える暇があったら、新たにやりたいことをやれる方法、新たにできること、すべきこと・・・・などを一生懸命考えてやったほうがマシです。

 

本当の「覚悟」っていうやつは、そういうことなんじゃないでしょうかね。

「のたれ死に」とか「腹を切る」なんかよりも。

そんな威勢のいい言葉に、酔っている場合ではありません。