急な痛み

腰痛でもなんでも、痛みというのはある日突然、或いはある短期間の間に現れてくる場合が多いです。

だから、その「ある日」、またはある「短期間の間」にその原因がある、と思い込みがちなんですが、ほとんどの場合はそうではありません。

 

「ある日」に原因があるものといえば、打撲などの怪我の場合、あるいは感染症や中毒などの限られたものです。

それ以外のものは、ほとんどが長年の疲れの蓄積によって、起こっている痛みです。

ギックリ腰や寝違いなどの「急性」と思われるものでさえ、実は長年の疲れが原因となっていることのほうが多いです。

 

例えば、背骨の「胸椎3番」というところが、何らかの原因で異常を起こしたとしましょう。

胸椎3番が異常を起こす原因といっても様々です。 呼吸器の疲れとか、腕の使い過ぎとか、ストレスによるものとか、様々なものがあります。

3番が異常を起こすだけでも、そういう疲れが続いてのこと。

この時点で既に「蓄積」があってのこと。  

 

ですが、更に続きがあります。

3番が異常を起こすと、その3番の働きを、一個下の4番が代用します。

しかし、それも時間が経つと、今度は4番が疲れ果ててしまい、今度は更に下の5番がフォローに回ります。

やがて5番が疲れれば6番が、続いて7番、8番・・・胸椎は12番まであって、次は「腰椎」に移ります。

 

腰椎は合計5つ。

1番、2番・・・ときて、一番下の5番で一応行き止まりです。

するともうフォローする場所がなくて、腰痛が発生するのです。

実際には、こんなふうに一個ずつ順番に壊れて行くわけではないのですが、分りやすく説明するとそんな感じです。

 

「一応」と書いたのは、腰椎5番のフォローをその下の「仙骨」が行う場合もあるからです。

仙骨は骨盤の真ん中で、腰椎5番を支えている骨です。

この仙骨は、骨盤の内部にとても大きな影響を与える骨で、ここが疲れてくると、生殖器系の問題も発生してきます。

女性ですと、生理痛、冷え性、不妊症・・・等の問題にも繋がります。 で、仙骨が疲れてくると、こんどはその仙骨を両脇から支える、骨盤の「腸骨」がフォローに周り、疲れてくると関節部に異常が起こってくるのです。

よくお尻がピリピリと痛い、という人がいますが、そういう症状がまさにそれです。

 

坐骨神経痛なんかも、そうやって起こります。

さらに腸骨の疲れが増してくると、今度は股関節へと波及し、股関節痛が起こります。

そしてやがて膝、足首・・・へと進行していきます。

 

基本的に、多くの場合はまず腰に痛みが発生するのですが、腰というのは案外頑丈な人もいるので(言い換えれば、鈍いのですが)、股関節にまで進行して初めて痛み出す人もいれば、膝にまで行って初めて痛む人もいます。

 

こうして出た痛みの背後には、上記のような長い長い歴史があるのです。

背骨が順番にフォローしていくと言っても、それが進むのは非常にゆっくりとしたペースです。

胸椎3番が今日疲れたから、明日は4番がフォローに・・・といった、一日二日で交替するようなものではありません。

明確に数字に表せるものではないですが、数ヶ月単位と考えてもらってもいいかもしれません。

トータルすると、何年、場合によっては何十年にも及ぶプロセスです。

 

ところが、痛み出すのはある日突然なので、「何か最近、体に悪いことをしてしまったのかな?」などと考えてしまうわけです。

その前の日まではどこも痛くなかったし、何も問題なく動けていたわけですから、当然といえば当然。

しかし、「どこも痛くなかった」「問題なく動けていた」というのは多くの場合錯覚で、本当は体は細かな信号を送っていたはずなんです。

 

だけど、細かな信号に気づける敏感な体の人というのは、残念ながらあまり多くないようです。

何か疲労を感じても、「ちょっと最近疲れが溜まってたから」「仕事が忙しかったから」と片付けて、栄養ドリンクを飲んで無理に元気ハツラツになったり、マッサージでも受けて気持ちよくなっておいたり・・・で誤魔化してしまう人も多いでしょう。

ましてや、ジムなどでトレーニングをしている人、何らかの健康法をやっている人の場合などは、自分にある程度自身を持っているものだから、本来の体の声を無視してしまう、なんていうことも多いです。

「長年かけて、体に負担をかけてきた」なんていうふうには思いたくもないですしね。

それはつまり、長年の生活スタイルを反省しなければならない、ということですから。

それよりも、「ある日」または「短期間」の間に、たまたま体に悪いことが起こってしまったんだ、というふうに結論づけたほうが気が楽です。

 

実際、よく「それは、長年の疲れの積み重ねの結果ですよ」と言うと、「いや、こないだ冷えたからだと思う」等とムキになって言い返す人、あるいは全く聞く耳を持たない人も非常に多いです。

・・・そういう面では、「体の声を素直に聞く」というのは難しいですね。

 

だからこそ、ちゃんと体を読める人に時々見てもらうことが必要なのかとは思います。

健康法を理屈で教えてくれる人でも、機械でいろんなデータを測ってくれる人でもなくて、ちゃんと体を見て、その声を聞き取ってくれる人、です。

 

まぁとにかく、ある日突然感じ始めた痛みでも、たまたまその日に、「痛みを感じるボーダーライン」を超えただけなんです。

その前の日も、その一ヶ月前の同じ日も、一日のうちで疲れを貯めた量は同じかもしれません。

たまたまその日に、境界線を越えただけ、なんです。

 

エアコンのフィルターみたいなもので、毎日毎日ホコリは溜まり続けていたのです。

それでもエアコンは動いてくれます。 ところがある日、あるレベルに達した時点で、動かなくなるのです。

決してその日にたまたま大量のホコリを吸い込んだわけでもなく、今までの一日一日と同じ量のホコリを吸い込んだだけなのに。

 

人間の体も、ある程度疲れが溜まったり、異常を抱えていたりしても動くことができます。

しかもエアコンと違い、互いにいろんな部位が補いあって、かなり長期間動くことができてしまいます。

しかし、動けなくなってしまえば、エアコンのようにフィルター掃除をすれば即OK!というわけにはいかないのが人間の体です。

それをもとに戻していくためには、やはりそれなりのプロセスを踏んで、回復させていかなければなりません。

それだけ長い間無視して酷使してきたわけですから。

 

それでも、ちゃんともとに戻ってくれるのですから、健気なものですよね、人の体は。

しかも、疲れを溜め込んで来た年数と同じ時間が必要なわけではなく、それよりも短い時間で回復してくれるのですから、それでも充分自分の体に感謝していいことなんじゃないでしょうか。

 

 

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