「逃げる」ということ

前回の「逃げを封じる」という話と全く逆のことを書くようですが、「逃げる」ということがとても大事なときというのも、あると思うんです。

たとえば体の面で言うと、痛みを感じる姿勢から逃げることで、その痛みの元となっている歪みや偏りを取るという方法もあります。

代表的なものでは「操体法」なんかがそうですね。
動きやすい、楽なほうへと動かしていく。

「活元運動」なども、「逃げる」方向へと動いていくことがあります。
基本的に、生き物は痛みから逃れる習性があるわけで、熱いものに触ってしまえば瞬間的に手を引いて逃げるし、何かがぶつかってくれば逃げます。
実際にぶつかってしまえば、その衝撃を逃がすように体を震わせたりする、そうやって体を守る本能があります。

だから、何でもかんでも苦手な動きをすればいい、というわけでもないんです。
本当は逃げるべき所、立ち向かうとべきところを上手に判断できるのが望ましいわけです。

だけど多くの人が、どちらかに偏ってしまっていると思うんです。
心理的な面でも同じで、逃げてばかりいる人もいれば、何でも受け止めて押しつぶされそうになっている人もいます。

逃げるのが下手な人はいつも、「ここで逃げたら、ずっと逃げてしまう気がする」ということをよく言います。

実際にその人が今までに逃げてばかりいて、そして同じ失敗ばかり繰り返しているのなら、その通りなのかもしれません。
だけどそうでもないのに、一生懸命踏ん張って、余計な苦労を背負い込んでいる人もいます。

まずは逃げてみて、次の場でもまた同じ事で悩むようなら、次こそは逃げないようにすればいい。
反対に逃げてばかりいる人は、「逃げる事って大事だよ」とあっさり割り切れてしまう人に多いようです。
そして同じ失敗を繰り返している。
そういう人こそ、逃げずに踏ん張ってみたほうがいいわけです。
逃げるのが得意な人は、心とともに体も弛緩してしまっている人が多いです。
にもかかわらず更に心身をゆるめるリラクゼーション系が大好き。
だから少し痛い刺激を加えてでも鍛えることをしたほうがいい。

逃げるのが下手な人は緊張し続けているタイプです。
リラックスできないタイプの人です。
そういう人は力の抜き方を覚えるべきでしょう。
当塾では、ある人には「頑張りすぎずにもっと力を抜いたら?」というし、別の人には「もっと気を引き締めて鍛えたほうがいい」ということを言います。

一体どっちが正しいのか?という問題ではなく、結局その人がどちらに傾いているのか、という問題なのです。