肩こりや五十肩の予防、改善法として、「肩甲骨はがし」というものをよく見かけるようになりました。
肩甲骨を剥がす、というネーミングですね。
肩甲骨はろっ骨の上に覆いかぶさっているような骨ですが、周囲の筋肉が硬直してしまい、肩甲骨がろっ骨の上に張り付いてしまったようになっている、これを剥がしていく、というようなことだと思います。
様々な療法でも同じような名前の技術があります。
肩甲骨の内側や外側から手を入れて筋肉をほぐしたりするような技術です。
しかし、これをやってもその効果は持続しません。
なぜなら、肩甲骨が張り付いてしまっていることにも原因があるからです。
言い換えると、肩甲骨やその周辺の筋肉だけが単独で硬直しているわけではない、ということです。
この動画は、肩甲骨を動かす体操法の動画です。
動画の中でも説明しているので詳細は割愛しますが、肩甲骨の状態は、腰の状態に大きく影響されます。
腰部が固まり、背すじを伸ばせないような体になっていると、背中が丸くなり、その結果肩甲骨はろっ骨に固く張り付いて動かなくなります。
胸が閉じたような姿勢になってきます。
その状態で腕だけを動かそうとすると、肩関節〜腕の筋肉に余計な力がかかり、肩周辺が痛みだすようになります。これが五十肩(四十肩)の正体です。
この肩甲骨の体操をするということは、逆に言えば、腰(背骨)の動きをよくする体操ということもできます。
肩甲骨の動きを利用して、腰を引き上げるような動きを行います(詳しくは動画をご覧ください)。
また、この動作は同時に後頭部〜首にも作用します。ここも肩甲骨と強く連動しているところです。
さらに、肩甲骨の土台になっているろっ骨の間を広げるような動きも伴っています。
ただ、既に五十肩で腕を上げると痛いという人はこの体操ができませんから、別のアプローチが必要です。
これは予防法の一つと思ってください。
整体法における体操は、このように、かならず複数箇所の『連動』を意識して設計されています。
上記の肩甲骨の体操も、実際は肩甲骨と腰という単純な構図ではなく、その他様々な部位との連携をもってなされるものです。
もちろん、整体の技術(施術)も同じで、「肩甲骨はがし」の技術を行えば肩甲骨が動くようになって肩の痛み解消…というふうに単純なものではなく、様々な箇所との連動があってはじめて効果をなすものです。