丈夫な赤ちゃんと腰の丈夫な大人

当塾では、腰を中心に、体には反りがあるといい、ということを主張しています。
その反りというのは、ほとんど背中側です。
この「反り」のなくなった状態が、お年寄りによく見られる背中の丸くなった体、腰の曲がった体です。
簡単に言えばそれは、心身に与え続けてきた負担が身体を硬直させた結果、体の「バネ」がなくなってきた現象だと言えるでしょう。

しかしそれは昔の人に多い話で、最近の人の場合は、最初から反りがなく、体にバネのない人が多いのだろうと思うんです。

だから若い人でも、体力のない人、疲れやすい人、そして元気がなく、やる気が出ないという人が多いのでしょう。
では、バネのある体というのは、どのように作られるものなんでしょうか?

それは、元をたどると赤ちゃんの頃の行動にあると考えられます。

代表的なものが、「ハイハイ」の一歩手前、「ずりばい」と言われる動きです。

また、その「ずりばい」を始める直前に見せる、うつぶせで頻繁に体を反らす動き、大人がやる「背筋運動」に似た動きです。

大きく体を反らすこの背筋運動は、背骨の力を鍛えます。
「鍛える」というと無理矢理で苦しいような印象を受けますが、赤ちゃんは実に楽しそうに、この動きをしていますよね。

誰にやらされているわけでもなく、「鍛えなきゃ!」という義務感でやるのでもなく、この動きが楽しくて気持ちいいんでしょうね。
何度も何度も、ビクン・ビクンと体を反らします。

この時期の赤ちゃんは、抱っこしていても頻繁にのけぞりますよね。

こうやって、丈夫でしなやかなバネのある背骨と、そして呼吸器を包む胸郭を鍛えているのでしょう。

そしてその後に、足腰の準備にかかります。
まずはカエルのように足をひろげ、その足で床を蹴るような動きを練習し始めます。

この時も背中は大きく反らしていますが、足を使うようになるせいで、その反りのポイントが腰に移ります。
腰に大きく「くびれ」のような反りを描くのが、この時期の特徴です。
この動きは、二足歩行をする人間の特徴である、「骨盤が起きた状態」を作る為の準備でもあります。

試しに、ずりばいの真似をしてみると、足の親指と足の裏(土踏まず)に反りができ、内股をピンと張り、そして腰(骨盤の上端部)に力が集まるのが分かるかと思います。

これらの力は、人間が二本足で立つ上で欠かせないものです。
そして、これらの準備が整うと、「ずりばい」から「ハイハイ」、そして「つかまり立ち」へと移り、本格的に足を使って立つようになっていくわけです。

このプロセスによって、一生自分の体を支えていける体の土台を作っているわけです。

もちろん、赤ちゃんのうちに土台が完成する訳ではありませんが、その基礎の基礎がこの時期にできています。

だけど、この基礎ができていない体で立ったり歩いたりすれば、必ず別の所に余分な負担がかかることになります。

本来、丈夫な腰で体を支え、随所にある反り(バネ)によってそれを補っていれば楽に立っていられるのに、その腰やバネが育っていないせいで、別の場所で無理に体を起こしている・・・そういう体の人は、若い人を中心によく見かけます。
だから、疲れやすいのです。
(若い人といっても、40代の人にも多いです。)
で、赤ちゃんの頃の「ずりばい」は、基本的には放っておいても勝手に始めてくれるものです。

しかし、そこに必要な条件というのがあって、それは筋力をつけていくための栄養源なんです。

特にずりばいを始めるためには、太ももの内側の筋肉が必要です。
この太ももの内側の筋肉は、どうしてもタンパク源が足りないとつかないのです。

ちなみに整体では、赤ちゃんの栄養状態を内股の弾力で見る、ということが昔から言われています。

たっぷりお乳を飲んでいれば、太ももが太くはなります。
だけど、お乳だけでは、太くはなっても、弾力のないフニャフニャした太ももになってしまうのです。

ずりばいを始める前には既に、お乳だけでは足りないのです。
筋肉の成分に近い、タンパク源(動物性)が必要になってくるのです。

当塾では、3ヶ月あたりからお乳以外にタンパク質の食事を始めるように勧めていますが、実践している子は、皆足がムチムチしてきます。

だから赤ちゃんも積極的にその足を使いたくなるのでしょう、
楽しそうに、とても力強いズリバイをするようになります。

お座りをしている時でも、内股の力で支えるようにして、しっかりと上体を起こしています。

太ももの力がない子の場合だと、ふにゃりと上体が前屈みになってしまいます。

昔に比べると、食料事情は今のほうが圧倒的に良くなっているはずですが、赤ちゃんの頃の栄養が足りていない子は、現代っ子には多いようです。

おそらく、様々な情報に影響されて、あえて母乳以外を食べさせないようにしている家庭が多いようです。
或いは、まだ赤ちゃんには消化できない野菜類を食べさせているか。

そうすると、同時に育つべき内蔵の力(栄養の消化力や貯蔵力)も育ちませんから、後々、常に沢山食べていないと体力が持たないような体になってしまいます。
(すると、おやつばかり食べたがる子になります。)
近年、ヒョロヒョロっとした赤ちゃんを見かけることが非常に多いです。
一方、しっかりと栄養が満ちて、太ももがしっかりした赤ちゃんは、保育所やご近所の人から「昭和の赤ちゃんみたい」と言われるそうです。
丸々してて、一回り大きいんだそうです。

「平成の子」は、手足も細くて胸板も薄く、小さい子が標準なんでしょうかね・・・
ともかく丈夫な体、そして心に育てるためには、本当は赤ちゃんの頃こそが、その土台づくりとして最も大事な時期なんです。

これから赤ちゃんを育てる方は、ちょっと意識してみてください。
そして、もう大人になってしまった人も、実は「ずりばい」に似たような動きが、そのトレーニングにもなります。
ずりばいそのものをやってみるのも良いですけど、ご家族に見られないように注意しましょう!(笑)