今回の記事は、既に公開されている「自我と共感(1)、「自我と共感(2)]の記事をもとにした内容となっております。
上記記事をご覧いただいた上でお読みいただけるとわかりやすいです。
随分昔の話になりますが、私が小学生の頃、とても厳しい担任の先生がおられました。
その先生はいつもたくさんの宿題を出し、
「帰ったらまず、最初に宿題をしなさい。遊んでいいのはその後です!」
と指導していました。
確かに言われてみると、最初に宿題を済ませてしまうと気が楽になって、心おきなく遊べた覚えがあります。
しかし、友達と早い時間に遊ぶ約束をしていた日もあります。
そういう日には、宿題を後回しにして遊びに出かけていました。
だけど、決まってそんな日は、やり残した宿題のことが気になって仕方ありません。
「早く帰らないと、宿題が出来なくなってしまう・・・夜中までかかったらどうしよう」とか、
「宿題ができずに、明日先生に怒られたらどうしよう」
などと悪い空想が働いてしまい、楽しいはずの遊びも全然楽しめなくなっていたのでした。
一方、一緒に遊んでいた友達のほうは、そんなことは全く気にも留めず、思う存分楽しんでいるようでした。
宿題は済んだのかと聞いてみると、当然まだだと答えます。
だけど全く気にしていません。
遊ぶことに100%集中しているようで、宿題のことなどすっかり頭の中から消えているかのようです。
私にはそんな友達の態度が、とても不思議に思えました。
なぜ、私とその友達の間には、このような違いがあるのでしょうか?
育ちの違いでしょうか?
それとも心構えの違いでしょうか?
当時の担任の先生からしてみれば、私のようなタイプが正しくて、宿題のことを全く気にせず遊んでいる友達のほうが間違っているのだ、という認識になることでしょう。
・・・いや、もしかすると最近でも、「宿題は先にすべき」という考えを持つ先生のほうが多いのかもしれません。
だとすると、そうした先生方から教育を受けて育った多くの大人達も、そのように考えるでしょう。
そして、もし自分の子供が宿題もせずに遊びに出かけているのだとしたら、そんな様子を怪訝な顔をして見ているはずです。
しかし、色々な人の様子を観察してみた結果、この違いは、変えがたい“生まれつき”持っている違いのようなのです。
つまり「個性」です。
宿題を先に済ませないと落ち着かない私のようなタイプと、宿題は後回しにしたいタイプ・・・育った環境がどうあれ、この違いはかなりはっきりと現れるようです。
多くの場合、先に済ませたいタイプが、以前紹介した『自我タイプ』、後回しにしたいタイプが『共感タイプ』であることが多いです。
自我タイプの人は、嫌なこと、苦手なことを先に済ませてしまわないと不安になるタイプです。
だから、食事をするときでも、嫌いなものを先に食べ、好きなものを後に残しておきます。
先に好きなものを食べてしまおうとしても、「その後で嫌いなものを食べなければいけない」という不安がつきまとうのです。そのせいで、好きなものも美味しく食べられないのです。
一方、共感タイプの人は好きなものから食べ、楽な仕事、得意な分野から勉強を始めます。
先に嫌いなもの、苦手なものから手を付けると、その嫌な気分を後々まで引きずってしまうのです。
だから残しておいた大好物を食べる段階になっても、それを存分に味わえないのです。
結局のところ、どっちが正しいわけでもありません。
自我タイプの人は先に嫌なことを、共感タイプの人は先に好きなことをすればいいんです。
仮に親が自我タイプで、子供が共感タイプだったとすると、つい親は子供に「先に宿題をしなさい」としつけようとします。
しかし共感タイプの子供は、それでは宿題が進まないのです。
そしてせっかくの勉強も全く頭に入らない、だから成績も悪くなります。
嫌いな物を先に食べさせるようにしつければ、食事がなかなか喉を通らず、栄養も身に付きません。
こうした本来の特性に合わない「押しつけ」が強くなってしまうと、それが負担となり、心や体を壊してしまうことにもつながりかねません。
自我タイプと共感タイプについては、あらためて過去の記事「自我と共感(1)、「自我と共感(2)]をご覧ください。
以下、参考までに、自我タイプと共感タイプのその他の特徴を付け加えておきます。
共感タイプのその他の特徴
派手な色、デザインを好む。柄のある服や持ち物など。
表情豊か、童顔っぽい人が多い。
よく喋り、感情表現が豊か。
絵文字、スタンプをよく使う。
顔を近づけてしゃべる。
よく話が飛ぶ。質問に対して違う答えが返ってくる(または脱線する)。
ボディタッチが多目、距離が近目。
自我タイプのその他の特徴
落ち着いた色、無地のものを好む。
あまり見た目を気にしない。
感情を顔に出さない。
会話が続かない。自分から口を開かないが、興味のあることについて話題を振られると饒舌になる。
あまり目を見て話さない。
口数が少ない割には文章は長くなりがち。ただしメール、ライン等で素っ気ない短い返事をすることがある。