歪みや痛みの元

体と心の話

意外に思われるかもしれませんが、整体の際に、頭部を触っていると、腰の歪みが取れていくということが度々起こります。

頑固な腰の硬直はそう簡単に取れるものではありませんが、体に不自然な力が入っていて、たとえば右の腰だけ頭のほうに上がってしまっている(その結果足の長さが違ってくるわけですが)というような、「一時的な緊張性の歪み」というのは、案外頭部の調整で取れてしまいます。

 

普通は「腰の歪み」「骨盤の歪み」というと、たとえばいつも足を組んでいるからとか、右側でばかり荷物を持つからだとか、そういうことが原因と考えられていることが多いのではないでしょうか?

だけど、体のどちらかにばかり「力み」が起こっているために片側が縮んでいることは非常に多く、その「力み」というのも、重い荷物を持っているとかの物理的な力ではなくて、精神的な緊張によって知らず知らずの内に力が入っている、ということがとても多いんです。

 

 

精神的な緊張というのは脳の中で起こるものですから、当然、頭そのものにその緊張が現れます。

たとえば、ずっと心配事を抱えていたりとか、いつも人の目を気にしていたりとか、やたらと完璧主義だったりとか、いつまでも過去の不平不満にこだわっていたりとか・・・そういうものが頭の中を支配していると、文字通り「頭が重い」状態になります。

あるいは、「頭がいっぱい」「頭の中がパンパンです」「頭が破裂しそうです」なんていう表現をすることがありますが、そういう時は、本当に頭が重たくなっているんです。

さらに、本当に張ったように広がっている場合もあります。

 

実際に重さが変わることはないはずですが、ただ、全身の力の配分が変わるのでしょう。

頭にばかり力がいくようになってしまうわけです。

 

たとえば緊張や不平不満などで歯を食いしばっていると、顎に数十キロの圧力が加わります。

すると、数十キロの重みを体の上部に抱えることになるわけですから、やはり「頭が重い」状態になります。

その結果、頭を支える首・肩は強い緊張を強いられます。

 

また、重いものを抱えたまま真っ直ぐに立っていることはとても難しいものですから、当然バランスが崩れます。

右あるいは左半身のどちらかが縮んだり、捻れたりということが起こります。

その結果、左右どちらかの腰に重みがかかり、腰の歪みや痛みが発生する、ということにつながります。

股関節や足の痛みにまで発展することにもなります。

 

ただ、腰や足の痛みにまで現れているとなると、かなり長期に渡って「頭が重い」状態が続いている結果ですので、一度頭をゆるめただけで取れるものではありませんが、とにかく腰の歪みというのは、そういうプロセスを経て起こっていることも非常に多いんです。

 

もちろん、歪みの原因はこればかりではありません。

様々な原因があって起こっています。

そして、腰そのものが原因になっていることは非常に少なく、多くの場合がどこか他の場所が原因となっています。

 

 

いずれにしても、それを探るには「観察眼」が必要ですし、色々な原因のパターンについての知識がないと、その見極めができません。

単に「背骨の歪みが痛みの元」だとか、「姿勢が悪いから」「過去に事故にあったから」等といった短絡的なものではないんですが、プロの整体や治療を行っている所でも、そのような断片的な判断で済まされるという話をよく聞きます。

 

当塾の整体(個人指導)では、背中から足、腹、頭というように、体全体を見て判断していくわけですが、それも痛みや歪みに至るまでのプロセスを見るためです。

足が痛いと言っている人に対しても、頭部の調整に時間をかけるのも、そのためです。

 

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