神の使者!

ある神道系の思想の中にある話だそうなんですが、この世の中には、密かに「神からの使者」のような存在の人が紛れ込んでいるんだそうです。

いきなり怪しげな話で恐縮ですが、私自身も、その話を信じているわけではないんです。
だけど、何だかその考え方には惹かれるところがあって、もう二十年ほど前に聞いた話ですが、よく覚えています。
人間の『魂』というものは、輪廻を繰り返すことで磨かれていくそうです。
まだ磨きが少ない段階の魂は、修行の場であるこの世で比較的つらい人生を送ることで浄化されていく。
つまりこの世で経験する様々な苦しみや不幸というのは、魂を磨く修行のためである…と。

ここまでは、よくあるスピリチュアル系の話と共通するものですね。

ちなみに、私はその考え方にはあまり賛同していないのですが、まぁ、それは置いておきましょう。
で、輪廻を繰り返し、磨かれた魂は「神界」と呼ばれるような世界に入り、もうこの世に生まれ落ちることはないのだそうです。

ただ例外があって、本来は神界入りするようなレベルの魂が、再び一人の人間として人間界に降りてくることがあるらしいのです。

それは、人間達を導く役割を担ってのことだそうです。
つまりそれは、神の使者のような役割を持った人間です。

で、それが一体どのような人なのか、という点が面白いのです。

磨かれた魂を持った神の使者のような人・・・例えば政治的なリーダーとか、特別な思想を説く思想家・宗教家とか、慈善事業を行う活動家とか、あるいは人々の憧れとなるような有名人、そんな人たちが思い浮かびます。

しかし実際には違うのだそうです。
ごくごく普通のサラリーマンだったり、専業主婦だったり、そんな姿でこの世に紛れ込んでいるのだというのです。

しかも、その本人には、自分が神界入りするような魂の持ち主であるとか、特別な使命をもってこの世に生まれたとか、そんな自覚は全く持たされていないそうです。

で、そういう「ごく普通」の姿をまとった『神の使者』が、この世でどのような行いをしてその役割を果たすのかというと、何ら変わったことはしないのだそうです。

ただ普通に、その人のその人としての人生を生きている、それだけなんだそうです。
だけど何故か、その人が自分の人生を一生懸命生きているだけで、もしかすると誰にも(もちろん本人にも)気づかれないうちに、この世に明かりを灯すような、この世の空気を潤すような存在になっているのだというのです。
繰り返しますが、この思想を私はそのまま信じているわけではありません。

だけど仮に、もしこの世に『神の使者』みたいな存在があるとしたならば、そういう人であって欲しいな、と私は思うんです。

絶対に、「私には神の声が聞こえるのです」などと言う予言者や、派手な衣装で着飾った霊能者、人の前世や来世を語る占い師のような人ではあって欲しくないです。

人生をよくするために大事なことっていうのは、大金を使い込んで自己啓発セミナーに通い続けることではないと思うんです。

子供達の未来をよくするために大事なことっていうのは、寂しそうに家で待っている子供をほったらかして、毎週デモ行進に参加することではないと思うんです。

それよりも、今目の前にあることそのものに、一生懸命取り組んでいくこと、目の前にある普通のことを大事にすることだと、私は思うんですよ。
だけどみんな、改革だ、自分探しだ、パワースポットだ、とその普通の日常から離れて行こうとする。

何か特別なこと、特別な場所の中にしか答えがないんだとしたら、この世のほとんどは無駄だということになります。
もしこの世を作ったのが「神様」なんだとしたら、そんな無駄だらけの世界を作っちゃったんでしょうかね?
もし本当に『神の使者』のような人がこの世にいるんだとしたら、その『神の使者』は、自分の周りの人たちの心を、その人自身の人間味によって豊かにしているのでしょう。

それは優しさかもしれないし、厳しさかもしれません。
寡黙に働くその後ろ姿かもしれないし、もしかしたら、ちょっと迷惑だけど憎めない天然ボケのようなキャラかもしれません。
まぁよく分かりませんが、本当に案外身近な普通の人に、私達は随分と救われているのかも知れませんね。

いずれにしても、いかにも『神の使者』的な態度で近寄ってくる輩には注意しましょう(笑)