先日、あるフリーランスの方と話をする機会がありました。
やはりこの感染拡大の影響で、ほとんどの仕事がキャンセルになってしまった、ということです。
すぐに生活に困るというほどではなさそうですが、長引けばやはり厳しくなります。
先が見えないだけに不安があるとはおっしゃっていたけれど、でも一方では、「この際だから…」というような思いに今は至っているようです。
「こういう時期だからこそ、頑張らなきゃいけないよ」と身近な人は言うのだそうです。
「こういう時期に生き残れるのは、歯を食いしばって頑張りぬいた人だけだ」と。
それも一理あります。
しかしその人は、今までもじゅうぶん、精一杯頑張ってきました。
嫌なことも、納得いかないことも、これを克服することで未来が開ける、「頑張ることが何よりも大切だ」と、言い換えれば「苦労した分だけ報われるんだ」と、長年そう考えて生きてきたのだそうです。
だけど実際には疲れがたまり、体の調子もずっとよくありません。
そしてこのコロナ騒動、一気に緊張の糸が途切れたようで、「もう頑張るのやめた」という境地に至ったというのです。
誤解してはいけないのは、その人は、決して、「これからはダラダラと楽をして過ごす」という気持ちになったわけではないと思うんです。
本当に自分がやりたいと望んでいることを、やりたい形でやっていくということ、そこに集中しようという気持ちになったのだと思うんです。
感染拡大のせいで、今まで抱えていたいろんな仕事がキャンセルになってしまった。
収入面ではそれは痛手だけれど、どこかでホッとしたような、肩の力が抜けたような感覚があるのだそうです。
逆に言うと、今までは自分を苦しめるような仕事の仕方をしていたということでしょう。
そして、稼ぐためには、自分が社会人として成長するためには、そういう仕事の仕方であるべきなんだと。
おそらく、多くの日本人が、「仕事」ということに対して、働くということ、稼ぐということに対して、そういうイメージを持っていることでしょう。
ただいつの間にかそれが、「苦労をする」「つらいことを背負いこむ」ということが目標になってしまっていることに、ほとんどの人が気づいていないのです。
苦労しなければいけない、辛くならなければいけない、そうでなければ幸せを得る権利がない、というふうに潜在意識に刷り込まれているわけですね。
でもそれは、苦労が終わってはいけない、辛さが終わってはいけない、と言っているのと同じなんです。
自分ではどうにもできないことが原因で、今まで頑張って築き上げてきたものが一気に崩れ、自分自身の価値観というものも一気に崩れてしまった、とその人は言っていました。
こんなにも短期間で、たった数ヶ月で世の中がガラリと変わってしまった、これは確かに、私もかなり驚いているし、先々の見通しが立っていません。
でもこれはある意味、リセットであり、初期化、といった状態なのかもしれません。
いままで自分の頭の中、潜在意識に無駄なデータを溜め込んで容量オーバーになっていたところを、うまく整理する時期なのかもしれないですね。
新しいOSをインストールして、それを使いこなせるようになるまでには、それなりの時間がかかるものだし、多少のバグはつきものです。
それでも新しいOSには、今までにない可能性を期待するものだし、時が経てばそれが普通になっているものですね。
最近パソコンのOSをアップデートしたばかりなので、ふとそんなことを考えていました(笑)