頭の疲れ〜こうべを垂れる体

体と心の話

稲が実り、重くなった稲穂は頭(こうべ)を垂れますが、人間の体も同じような状態になっている人が多くいます。

稲穂の場合は、それで実った米(種)が地面に落ちれば良くて、だから茎の持つ力では支えきれない程の重さにまで実るわけですが、人間の場合は頭が落ちてしまっては困ります。

だから背骨は、重い頭を常に支えられるだけの力を持つように出来ています。

 

だけど24時間、常に支えていたのでは疲れてしまいますから、毎日横になって眠り、休むようになっています。

立ったまま眠れないのはそのためでもあって、眠るということはつまり、背骨(実際にはその周辺の筋肉、そしてそれを司る神経)を休ませるということでもあるのです。

 

これらの仕組みによって、私達は重い頭を支えつつ、毎日動いていられるわけですが、それでも背骨の持つ力以上に、頭が重くなってしまうことが多々あるのです。

それは頭の使い過ぎ、つまり考え過ぎとか、心配し過ぎとか、気の使い過ぎ、気張り過ぎ・・・といった頭脳の疲れのことです。

こういった疲れのせいで、頭が重くなり、実った稲穂のように頭を垂れる恰好になってしまっている人がとても多いのです。

 

見た目上には垂れていなくても、垂れる手前、かなりの力を背骨に入れてそれを支えているのです。

つまり、垂れるレベルにまでなってしまった人はかなりの重症。

もう支えきれないほど重くなっている状態なですから、何もしなくても体が重くなっています。

正確な数字では表せませんが、何十キロもの重みを常に抱えて生活しているようなものです。

それでは当然疲れも取れませんし、何もする気がなくなってしまいます。

 

一晩ぐらい眠ってもその重みは取りきれませんから、朝も体は重く、なかなか起き上がれません。

当然、肩が凝ったり、背中や腰が痛くもなってきます。

 

しかしやはり、一番重みがかかるのは、頭を直接支えている首です。

首のコリについては自覚がない人もいますが、首が張っていると直接的に神経の緊張を引き起こすため、胃が痛くなったり、食欲がなくなったり、動機が激しくなったりする人もいます。

 

とにかくその症状の表れ方は様々ですが、頭の重みということはあまり一般的には認識されていない問題なのではないでしょうか。

これは物理的な頭部(頭蓋骨とその中身)の質量という意味ではなくて、そこに加わる力、という意味での話です。

 

つまり、ここで言う「頭の重み」というのは、人間の体の構造上の欠陥という意味ではなくて、使い方の問題だということです。

頭の使い方・・・言い方を変えれば心理面の影響ということですが、このことはあまり真剣に捉える人が多くないというか、実際にはあまり「心理面の影響だ」と「考えたくない」人のほうが多いのではないでしょうか。

あまり自分の心とか、そういうものは顧みたくないものでしょう。

ましてやそこに「問題がある」なんて思いたくない、まるでそれは自分の「心が弱い」とか、「生き方が間違っている」とか、そんなふうに思えてしまうからかもしれません。

それよりは、食生活や姿勢などの問題で片付けたほうが、なんだか解りやすくてスッキリする、そのほうが実践しやすい、と思えるかもしれません。

 

しかしそれらよりも、この「頭の重み」の問題は直接的に私達の健康に対する影響が多い、というのが当塾の見解なのです。
20年人の体を見続けてきて、確信に至ったことです。

何度も言っていることですが、当塾が「潜在意識」というテーマを重要視しているのもそのためですし、整体の際に頭部と腹部という、神経系に作用する部位に重きを置くのもそのためです。

簡単に頭の重みを緩和させる体操やセルフケアは、体操教室でもご紹介できますので、興味のある方は当日リクエストしてください。

 

ともかく、頭を垂れる、あるいはその直前までになってしまっているのならば、今のままの頭(心)の使い方を続けないほうがいいですよ、という体のサインなのです。

朝起きるのが辛い、体が重い、調べてもどこも悪くないのに体がつらい・・・

そういう「声」を体と心が発しているのだと捉えて、そこから軌道修正していくことが必要なのです。

 

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