妊娠中の体・心のトラブルと
胎児の体・心の発育
悪阻(つわり)や妊娠中毒症、逆子など

どんなに医学が発達し、そして妊娠・出産に関する情報が豊かになっても、妊娠・出産の『身体のしくみ』は太古の昔から変わりません。
つまりこれらは人体における『自然の営み』であるということです。
そして、その自然の営みにできるだけ任せるということが、健康で安全な妊娠中の過ごし方、そしてお産のあり方である、ということができます。
もう少し具体的に、詳しくお話しましょう。
まず、妊婦さんの健康と、赤ちゃんの発育に最もよくないことは、『神経質になること』『頭の遣い過ぎ』です。
「骨盤〜女性の身体…」のページで書いたように、頭と骨盤はシーソーのような関係にあります。
頭が働きすぎれば骨盤内部(子宮)の働きが悪くなりますから、胎児にとっては、大変環境の悪い状態になってしまうのです。
従って、色々なことに『気を使い過ぎる』『気をつけ過ぎる』のは決していいことではありません。
たとえば、食事に気をつけ過ぎて、摂取カロリー量やミネラルのバランスなどを気にしすぎたり、食品の原材料に神経質になりすぎたり、衣類、寝具、電磁波、放射線などの要因に神経質になりすぎて、いつもピリピリしている・・・
このような精神状態で過ごすことが、何よりもよくありません。
少々添加物が混ざったものを食べたり、少々の公害物質に触れることの害よりも、そうした精神的な緊張感のほうが、よほど母子の心身にダイレクトに負担を与えてしまいます。
一言で言えば、リラックスして、妊婦さんが自分の身体の欲求にできるだけ素直になって過ごすのが一番です。
妊娠中というのは極端に言えば、お腹の赤ちゃんを健康に育てるために全力を集中している時期です。
普段の何倍も『生命の勘』が鋭くなっている時期です。
従って、その欲求は身体が必要として求めているもの、胎児が必要として求めているものに限り無く近いものだと思ってください。
従って、どうしても食べたくて我慢できないものは、仮に「身体に悪い」と言われているようなものであっても、理屈抜きで、身体が求めているものなんです。
そして、どうしても我慢できない環境は、可能な限り避けたほうがいいんです。
仕事もできるだけ早めに産休をとったほうがいいでしょう。
仕事のことに気を取られず、できる限りお腹の赤ちゃんに気をまわすほうが理想です。
だけどこれもあまりこだわり過ぎず、仕事が楽しくて仕方ない人は、お腹の赤ちゃんと一緒に仕事を楽しんでいただければいいと思いますし、逆に仕事がプレッシャーになっているのなら、できるだけ早く離れたほうがいいでしょう。
もちろん、現実的には離れたくても離れられない事情もあると思います。
そういう場合は、それぞれの事情の中でしっかりと決断し、可能な中でも最適の環境を選んでください。
そして後にも詳しく述べますが、日々、赤ちゃんへの『愉気』によるケアを忘れないでください。
■ 悪阻(つわり)、妊娠腎・妊娠中毒症、逆子などについて
実は、つわりや妊娠中毒症、逆子をはじめとする妊娠中のトラブルも、上記のような『神経の遣い過ぎ』やストレスが原因となっていることが非常に多いのです。
例えばつわりの場合、その原因の一つは『骨盤の緊張』にあります。
妊娠するとすぐに、胎児を育てていくために骨盤内の環境は変化するわけですが、その際、骨盤の動きが悪い人にはつわりが強く起きやすいのです。
骨盤の動きが悪い人の多くは、頭の使い過ぎ、神経の緊張度が高い人です。
多くの場合は3ヵ月程度でピークを越えますが、緊張度の高い人はその後も不快感が続きます。
その他、食べ物が合わなかったり、負担のかかる運動、腕の疲れ、目の疲れなどもひどい悪阻の原因になりますが、思い当たることはできるだけ避け、身体の欲求に従うようにしましょう。
そして食べられなければ無理に食べないこと・・・不思議なことに、ある程度食べなくてもお腹は大きくなるし、体重も全然減らなかった、なんていう人もいるんです。(それでも不安な方は、必ず専門科に相談してください。)
また、妊娠中に不満、我慢を多く抱えていると、それがつわり当の症状となってあらわれる場合もあります。
普段は気にならないようなことでも、妊娠中は特に気になるものですよね。
それは赤ちゃんや母体を守るために、感覚が鋭敏になっているからです。
だからついイライラしたり、メソメソしたりしてしまいがちなんですが、そんな自分を決して責めず、ましてや「鬱」や「ノイローゼ」というレッテルを張ることはやめて、これは自然な現象なんだと、まずは受け入れることが大事でしょう。
その上で、可能な範囲でそのストレスフルな環境を整えること、自分にとって少しでも快適な環境に変えていくことを意識してみてください。
妊娠後期に起こりやすい腎臓の問題(妊娠腎/妊娠中毒症)なども、同じように神経の緊張やストレスの影響を受けて起こる場合が多くあります。
腎臓そのものへの手当て(愉気や温湿布)ももちろん重要です。
足が重かったり、むくみのひどい場合は特に腎臓への手当てと共に、脚裏(太ももや膝)、内ももをよく伸ばすとともに、足湯で循環を促すこともお勧めです。
そして可能な限り、散歩をすることがお勧めです。
決してペースや距離を測って歩くのではなく、あくまでも自分自身が気持ちよいペースで歩くことです。
歩くことで循環を促しますし、骨盤の運動にもつながります。
そして時々大股で歩いてみて、足をよく伸ばしておくといいでしょう。
だけど股関節や膝に負担をかける急な坂道や階段などはできる限り避けること、そして犬の散歩などと兼用しないで、あくまでも自分のペースで歩くことです。
散歩の時間は、お腹の中の赤ちゃんと二人きりになってノビノビと過ごす、貴重なリフレッシュタイムでもあります。
逆子については、骨盤が緊張していて居心地が悪く、思わず赤ちゃんが逆さになったり横を向いたりしている状態です。
ですから、まずはお母さんがリラックスすること、その結果骨盤(子宮)がゆるめば、赤ちゃんも安心して元の位置に戻ります。
そして決して焦らないことです。焦れば焦るほど緊張感が増し、子宮の居心地は悪くなり、赤ちゃんも緊張して縮こまってしまいます。
「緊張させてごめんね、好きな時に戻ればいいよ」 というような大らかな気持ちでいたほうが、かえって戻りやすくなります。
最も効果的なのは、お腹に手を当てて、赤ちゃんに話しかけることです。
その時も決して「早く正しい位置に戻りなさい!」なんていう気持ちを持つのではなくて、あくまでも好きな時に、好きなように戻ればいいという気持ちで、「さかさまだよ」と優しく声をかけて教えてあげてください。
簡単なことですが、これだけでその場でグルリと動くことだってあるんです!
■ 赤ちゃん(胎児)は空気を読む!?
赤ちゃんは『気』に敏感です。
『気』と言われても何のことかわからない、という人もいらっしゃるかもしれませんね。
平たくいえば、雰囲気とか空気とか、気持ちの裏にある本当の心とか、そういったものに敏感なんです。
家の中が冷たい雰囲気に満ちていれば、その緊張感を感じますし、夫婦の間が殺気にみちていれば、お腹の赤ちゃんもビクビクしてしまう・・・
もちろん理屈や事情を分かっているわけではありませんが、とにかくその空気を感じる感受性は、大人以上に敏感だと思って間違いないでしょう。
逆子の場合に限らず、お腹に手を当てて話しかけることは大変お勧めです。ただその話しかけには、決して命令や要求などを込めないことが大事です。それらは赤ちゃんを緊張させることにつながってしまいます。
「頭のいい子になれよ」とか、「将来はお金持ちになれよ」なんていう親の願望は、ただのプレッシャーにしかならないんです。
『胎教』ということを考えている方は、その点を勘違いなさらないよう、注意して頂きたいと思います。
散歩の時も、お腹の赤ちゃんとお話しながらのんびり過ごすといいでしょう。
その時も「今日はいい天気だね」とか、「可愛いお花が咲いてるね」というような、意図や命令のない話しかけが理想です。
あるいは、必ずしも声に出して話しかけなければいけないわけでもありません。
ただお腹に手を当てて、赤ちゃんそのものに触れているつもりになるだけでもいいんです。
そうやって、赤ちゃんの存在を感じてあげることです。
するとお腹の中の赤ちゃんは安心します。自分の存在を常に認めてもらえているのですから。
妊娠中も仕事のことで頭がいっぱいだったり、
ストレスで頭の中に全く余裕がなかったり、
そうやってお腹の赤ちゃんに気持ちを向けてあげる機会が少ないと、赤ちゃんは常に不安を感じることになります。
また、一生懸命お腹の赤ちゃんに気を使って生活しているつもりだとしても、それが「栄養分析」や「消費カロリー」といったことにばかり神経質になっていると、それは栄養や運動のことにばかり『気』が向いているのであって、赤ちゃんそのものの存在にあまり『気』が向いていない、ということにもなります。
そういったことに、赤ちゃんはとても敏感なんです。
とにかく理屈抜きに、お腹の赤ちゃんそのものの存在を感じながら、声をかけ手を当ててあげましょう。
お腹の中で元気よく動きまわって、喜んでくれるはずです。
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長くなりましたが、以上を簡単に要約すれば、
○ あまり神経質にならず、こだわり過ぎず、リラックスすること
○ 心身の要求にできるだけ素直に従うこと
○ 妊婦さんにとってできるだけ居心地のいい環境で過ごすこと
○ お腹の赤ちゃんに『気』を向け、存在をそのまま感じてあげること
☆もう一つ付け加えると、妊娠中もできるだけ『自働運動』を行うといいでしょう。
真剣に取り組みたい方には、整体(個人指導)の際にお教えしますのでお尋ねください。
(身体を的確に整え、勘を敏感にし、精神のバランスも整えます)
・・・これらが妊娠中を健康に過ごす秘訣であり、赤ちゃんを元気に育てる秘訣でもあります。
と同時に、お産そのものについても、これらはそのまま当てはまります。
自然に産まれる時間に、産みたい姿勢で、居心地のいい環境で、リラックスして産まれるのを待つのが理想です。
赤ちゃんだって産まれたくて産まれてくるのですし、本来なら、自分らしく産まれさせてあげたいものです。
そしてそれが、「君は君らしく、君のままで生きていいんだよ」というメッセージになるのではないでしょうか。
もちろん、お産については、産院の条件や様々な事情があって、なかなか自由にはいかないことも多いでしょう。
だけど、その命の始まりの時期である妊娠中、そして誕生後の時期に、上記の点を意識して頂くだけでも、母子の健康に、そして赤ちゃんの発育に、とてもいい影響を残すことができるはずです。
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