風邪、発熱と体の掃除
「症状即療法」のわかりやすい例として、そして体の自然な自浄能力というようなことを説明するのに、風邪の話がよく用いられています。
“風邪をひける体” ・・・これは、整体独自の考え方ですが、かなり変わった見方かもしれません。普通は“風邪は万病の元”
と言われているものですしね。
それでも、一般的な風邪の治し方については、近年見直されている傾向もあるみたいです。すぐに薬を飲むのは良くないとか、自然に治したほうがいい、とか、自分からそう仰る方も増えてきているように思います。
通常、風邪はウィルスに感染してかかってしまうもの、とされています。確かにそれは正しいのでしょう。
しかし、どんなに風邪(そしてインフルエンザも)が流行っていても、どんなにウィルスが蔓延していても、移される人、そうでない人がいるのも事実です。
風邪が流行ったらマスクをする、よく手を洗い、うがいをする、そういう事が言われていますが、全くそんなことをしない人が平気でいたり、充分注意している人が風邪をひいたり、ということもあります。
やはりそこには風邪をひく側の体の条件というものがあるのでしょう。
風邪をひくと、熱が出ます。
熱が出たらすぐに解熱剤を飲む・・・当然熱は下がりますが、今度は却って低い熱(微熱)が長引いたり、下がった後の気分が悪かったりということが起こるものです。
風邪の治り際が悪い、というのがそうですね。
体が熱を出すことでウィルスと戦っているわけですから、本当ならむやみに下げていいはずもありません。
ウィルスがまだ体内にあるから、体は熱を出そうとする、しかし解熱剤の影響で熱を出すことができない・・・・それで低い熱がくすぶっている、そういう悪循環が起きます。
微熱が続くというのはそういう理由ですが、熱をぶり返すこともあります。
それも出し損ねた熱をもう一度出そうと体が頑張っている姿です。
熱は風邪のウィルスだけを処理してくれるものでもなく、その他諸々の体内の細菌、毒素、溜まった老廃物をも処理してくれます。
溜まった疲労、体の歪み・偏り、そういったものまで、風邪を自然に経過させた後はきれいになっていることがあります。
だから風邪をきちんと経過した後は体が軽く、不思議な爽快感があるものです。風邪をひいた後に肌が綺麗になっていた、なんていう事を経験した方、いらっしゃいませんか?
しかしその経過を妨げるようなことがあると、風邪の後にグズグズとだるい症状を引きずってしまう、ということになるのです。
風邪は“体の大掃除”をしてくれている訳です。
余分なものが溜まっている人が、必要なタイミングで風邪をひく訳です。自然な“デトックス”ですね。
だから風邪をしっかり経過させずに、途中で止めてしまえば、体の中にはどんどんゴミが溜まっていきます。
溜まれば溜まるほど、もっと大がかりな大掃除が必要になってしまいます。
“風邪”レベルでは済まされないような大病をしないと、リフレッシュできなくなってしまいます。そのような命がけの大掃除をしなくて済むよう、体は定期的に、細かなリフレッシュを自発的に起こしてくれているのです。
部屋の掃除と同じです。
不要物やゴミを押入に隠し、見た目だけ綺麗にしても、やがてあふれかえってしまいます。その時には大変な大掃除、場合によってはリフォームが必要になってしまうものです。
普段からこまめに掃除をしていれば、大掃除で汗を流す必要などないのです。
ですから、良い体の人は風邪もごく軽く終わってしまいます。風邪も必要ない位の綺麗な体が理想なのでしょうが、実際はそうもいかないでしょう。
熱が出たらすぐ下げる・・・これが癖になると、体の側もやがてあきらめてしまいます。
熱を出す力さえ忘れてしまいます。
時々部屋のお掃除を諦めて、ゴミの山の中で暮らしている人がいますが、体の中でそんな事が起きると恐いですね。
さて、実際に熱が出たときのことをお話ししましょう。
大切なのは「治し方」よりも、自然な経過のさせ方です。
普通は冷やしますが、上記のような理由で「体が出そうとしているものは出させる」ことが肝要です。用が済めばちゃんと止まってくれます。
むしろ熱を手伝ってあげた方が体は喜んで仕事を完遂させるでしょう。スムーズに終わってくれたほうが楽ですしね。
熱が上がってきたら、後頭部を自家製温湿布で温めます。
(※幼児、高齢者、療養中の方を除きます・・・後述)
通常15分以上繰り返すと、一旦熱が上がって、汗が出てきます。
汗がしっかりでると、スムーズに下がります。(出た汗はしっかり拭き取りましょう。)
40度を超えたら鼻柱を温めると落ち着きますが、なかなか下がらず不安な時は額と髪の毛の境目・又はもう少し上を水で濡らした手拭いで冷やすといいでしょう。
生水をよく飲み、食事は自然に・・・自然にというのは、食べたかったら食べたいものを食べ、食欲が無かったら食べないでおきます。
「風邪の時は栄養を」と言いますが、それは栄養価の高い物をあまり食べられなかった昔の話で、現代人は余分な栄養の取りすぎで体を壊していることの方が多いのです。
そして、その余分なカロリーを処理するのも風邪の役目です。
多くの場合、風邪の時は食欲もなくなるものです。そういう状態が一週間も続くなら別問題ですが、体が欲しがっていないものを無理矢理食べることがいい筈もありません。
普通、動物なら体調を崩した時は食べません。怪我の時も極端に食べる量が減ります。
その方が早く治るからです。
風邪かな?と思ったら、まず足湯をしてみてください。 喉が痛い時にもお勧めです。
咳が出る時は、鎖骨の上の窪みの所や胸を自家製温湿布で温めてみてください。
熱が下がった後は、気持ちいい運動をした後のような状態です。
体は休養を必要としますので(実際に休みたくなるものです)、その時はしっかり休みましょう。
熱が一旦平熱を下回ることが多いです。
※3歳未満の幼児や高齢の方、著しく体力が弱っている人が高熱を出した場合は、後頭部を温めず額の少し上を冷やしてください。
それから、どうしても不安な時は冷やす、医者に行くということも必要でしょう。
しかし風邪にはこういった効能がある、ということを頭の隅に置いておいて頂き、いずれ自然に経過させるように試みて頂きたいと願います。
年々深刻化しつつある重病、新しい病気、そして昔より強力に進化した病気・・・これらの背後には風邪という体の大掃除を無視し続けたこと、そして菌を殺すことにばかり躍起になったこと、というような原因があるのではないでしょうか?
風邪に限らず、不自然な健康法や治療法は、体を鈍らせてしまいます。そうして風邪という大掃除を自発的に行う“体の感受性”をも失ってしまうのです。
整体を受けたり、自働運動をするようになってから風邪をひくようになった・・・という人はとても多いのですが、それは“風邪もひけない鈍い体”を整え始めたことがきっかけで、自ら風邪を通してリフレッシュできる弾力ある体になってきた、という現象です。
長年体の中に余分なもの、鈍りを溜め込んできた人は、排泄というプロセスを経なければなりません。
それは時に苦痛を伴うことがありますが、その苦痛も、もう一度自分の体そのものに目を向けるために必要なものかもしれないと思うのです。
親にかまってもらえない子供がよく怪我をしたり、病気がちになることがあるように、かまってもらえない体は、苦痛を通して自分自身にも訴えているのです。
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