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産後の過ごし方ついて

(乳腺炎、授乳等についてのQ&Aより)


これからお話しするのは、産後6ヶ月を経過したご夫婦から受けた相談と、その返答を編集した実例の紹介です。
妊娠中に直接個人指導もさせて頂きましたが、県外にお住まいのため、今回はメールでのやりとりとなりました。

赤ちゃんが誕生し、本来なら幸せいっぱいなはずの時期であるにもかかわらず、産後の“不自然”な過ごし方が原因で、随分と辛い思いをされていたようです。
どうやら近くの専門機関などで受けた育児指導が合わなかったようなのです。
しかし、どんなに辛い思いをしていても、専門家に指導された事を無視するには大変な勇気がいるものです。
こういうことは育児に限らず、一般的な健康法、養生法に於いてもあり得ることなのではないでしょうか。

そのため、ご本人の許可を得て、今回のやりとりの一部を皆様にもご紹介致します。
現在育児と関わりのない方にも、体の持つ自然性の大切さを教えてくれるような実例でした。私もご本人の決断とその後の心・体の方向性の転換ぶりに大変感動致しました。

前置きが長くなりましたが、以下、そのやりとりを紹介します。
プライバシー保護のため、個人情報、実在の団体名などは省略させて頂きました。

※この度の福井自然体健康塾からの返信はあくまでも相談者個人向けのものですので、全てが全員に当てはまるものではありません。

[相談者ご夫妻からのメール]
産後、約6ヶ月が経ちましたが、体の方が思わしくありません。
元々、皮膚が荒れやすいのですが、今までなら症状が出ないような生活状況や食事内容でも、皮膚が荒れてしまいます。
また、乳腺炎にも何度もなっています。
(皮膚科の先生に診てもらったのですが疲労が原因と言われました。)

食事内容ですが、玄米菜食を基本に、白身魚や卵や鶏肉をたまに食べます。甘味は旬の果物や、加熱処理等をしていない良質な蜂蜜をたまに摂る程度です。
飲み物は浄水器を通した水道水と天然炭酸のミネラルウォーターを飲みます。
乳腺炎の予防の為の食事指導に従って、このような内容です。

最初の乳腺炎のときに治療を受けた相談所で指導を受けています。 授乳は昼夜を問わず 2時間半〜3時間おきにやっています。
そのため 充分な睡眠と休養がとれず 疲労が重なります。
もう少し眠りたいので、夜中の授乳時間を延ばせないかと相談したのですが「おっぱいは2時間半〜3時間おきに涌く様に出来ているので、夜中もそのリズムでやらねばならない」と言われ、指導に従っています。
しかし、いくら指導通りに授乳をしても、毎週マッサージに通っても、食事を完全な菜食にしても、残り乳をしぼっても、乳腺炎になってしまいます。

お風呂上りも かゆみを酷く感じます。
乳腺炎の予防の為、入浴は出来ず、シャワーのみと指導されています。
赤ちゃんをだっこしたり、重い物を持つことも禁止されています。
赤ちゃんとのスキンシップや用事が思うように出来なくて、負担に感じています。

現在受けている指導では充分な乳腺炎の予防になっていないと感じながらも、他に良い方法もわからず、困っています。
あまりに負担と犠牲が大きいので、子供が6ヶ月になるのを期に断乳しようかとも考えています。


[福井自然体健康塾からの返信]
まず、現在受けておられる指導と、体が求めていることの間にかなりのギャップがあるのではないか、ということを感じました。

よく言われている2時間半〜3時間おきの正確な授乳時間に、かなり負担を感じている人も多いと聞いています。
「おっぱいは2時間半〜3時間ごとに湧いてくる」とのことですが、実際体感としてはどうなのでしょう?
その時間に必ずお乳が張ってくるのでしょうか?
そして、赤ちゃんはその時間に欲しがりますか?

日によって違うのではないでしょうか?
赤ちゃんの運動量、気温や湿度といった様々な条件によって、赤ちゃんが飲みたがる量・時間帯が違うはずです。
で、その赤ちゃんの都合に合わせてうまくお母さんのお乳が張ってくるのが自然です。
だから3時間毎に…ということは気にする必要がないですよ。
お乳が張って、赤ちゃんが飲みたそうだったらあげればいいでしょう。
そして、補食を充実させる事の方が今は大事です。お乳もかなり薄くなっているはずです。

そのような時期にお乳をあげすぎると乳腺炎になりやすいようです。
赤ちゃんの吸飲もかなりの刺激のはずです。耐えられる期間はそんなに長くないのではないでしょうか。(断乳が遅くなってしまったお母さん、お乳をあげる回数が多いお母さんは異常な背中の緊張なども起こり、お乳の疲れがはっきりとみられます。)
そういう理由もあって、3ヶ月過ぎ頃から、補食を充実させ、授乳を減らしていくことをお勧めしています。

半年たった今でも、毎日十回前後も授乳していたのですから、炎症を起こすのも無理はありません。お乳自体の滅菌力も弱まっているかもしれませんし、お乳を製造すること自体が体にとっては大仕事です。
そしてそれをすぐに出して(授乳したり搾ったり)しまうせいで、お乳の分泌作業がフル回転の状態になっていたのではないでしょうか。その疲労が、乳房周辺や全身の皮膚炎の原因にもなっていると考えられます。
赤ちゃんが飲み残したお乳、或いはお乳がパンパンに張っていても飲んでくれなかった時があれば、優しく絞って出すようにしたほうがいいでしょう。

本来なら、そろそろ母乳より食べ物のほうがメインの時期ですから、乳房のほうも休みたい時期です。
母子共に、今はそれが第一でしょう。

それで、補食については、母乳に代わる栄養価の高いものが必要です。
つまり良質の動物性のもの、現在の指導では全く逆のことを言われているかもしれませんが・・・。
今まで母乳という究極の動物性飲料を飲んでいた子が、いきなり穀物や野菜類を食べさせられる事のほうが不自然で、まずは良質の乳製品や、卵・魚・肉を赤ちゃんでも食べられるように調理してあげてみてください。びっくりするほど食べるはずです。
常識・知識にとらわれず、赤ちゃんが“欲しそうなもの”を感じてあげてください。

これも日によって違うはずです。
そうして補食が満たされて、ようやく断乳がうまくいきます。
そのうち穀物、野菜、果物など、どんどん好みが変わってくるでしょう。
赤ちゃんの“マイブーム”に合わせてあげてください。

お母さん自身の食事も同じで、現在は玄米菜食中心にしているとの事ですが、本当に何を食べたいかを素直に感じて食べてみては如何でしょう?
半年間の無理な授乳生活で、消耗している可能性もあります。
もしかすると、もうちょっと栄養価の高いものが合うのかもしれません。
(でも、食べたくなかったら無理しないでください。)

お風呂についても、お湯にしっかりつかりたいのではないでしょうか?清潔なお湯であれば大丈夫ですよ。
熱目のお湯のほうが合う場合もありますから、まずはちょっとだけ試してみて、つらければ辞めましょう。
基本的に、アトピーでも乳腺炎でも、患部に温湿布(蒸しタオル)を当てると楽になることが多いのですが、場合によってはそれが痒くて辛い場合もあります。
こちらもまずは試してみて、つらかったらすぐ辞めましょう。

あとは毎日お乳そのものと、脇の下に“愉気”を。(ご主人がしてあげてください)
それから肩胛骨の間の背骨にも、他にも気になるところがあれば愉気をしてください。

産後の母体の皮膚炎・アトピーは、骨盤・腰の歪みによって起こる場合もありますし、腕の疲労、お乳のあげすぎによる疲労などが呼吸器を疲れさせ、皮膚に出てしまうことがあります。母体の栄養不足という場合もあるでしょう。

抱っこや重い物を持つのは、確かに負担になる場合があります。
でもこれも程度の問題ですし、スキンシップはとても大事ですから、大丈夫だと思える範囲でして頂くしかないでしょう。

ともあれ、授乳の見直しが一番大切だと思います。
とにかく、試してください。


[ご主人からの返信]
先生のメールを拝読して、家内も気持ちが随分とすっきりしたようです。
最初に乳腺炎になりかけた際、保険所で紹介されたところで指導を受け始めたのですが、体に無理があるのを感じていたようです。
しかし、他に情報を詳しく得られるところが無かったので、信頼してやってみたのですが、今は、家内の身体には合わないということが、納得できたようです。

今朝、家内が鯛をすり身にして、子供にやったのですが、すんなりと食べてしまいました。
頂いたメールの中で、乳製品をとありましたが、ヨーグルトしか思いつかないのですが、他に何かありますでしょうか?バターをそのままというのは不自然に思えますし、チーズなどでしょうか?

家内の方は、昨晩から、愉気をたっぷりとして、授乳間隔も、おっぱいが張ってから、もしくは赤ちゃんが欲しがってからにしたところ、夜中の授乳も随分と楽になったようです。
家内と、もう断乳をしようかと話していたのですが、暫く、ゆっくりしたペースで授乳や補食を含めた子育てを楽しめそうです。



[福井自然体健康塾からの返信]
どんな育児法や健康法でも、説明がしっかりしているだけに、自分自身の体感を無視してしまいがちな事はあると思います。(特に公共機関の紹介となるとそうでしょう)
前回私が書いたことも、もし無理を感じたら遠慮無く自分の直感に従ってみてください。


直感といえば・・・断乳について補足させて頂きます。
今受けている指導では、では断乳は遅いほうがいい、と言われているのではないでしょうか。
でもこれは、時期を逃すと多少問題があります。
7ヶ月を目安に考えて頂くといいですが、人によってはもっと早いことも、遅いこともあります。
で、そのタイミングは「直感」で感じた時がベストのようです。
もうしばらく補食を充実させ、乳離れをうまく誘導してあげるといいでしょう。
(今までの授乳・補食のあり方から考えると、今急に断乳するのはよくなさそうです。)

何人かのお母さんから、「今日がその日だ」と感じる時があった、と聞きました。
で、その何日も前から、もういらないんでは??という気がしていたとの事です。
そういう気がしてきたら、時々「そろそろ終わりにしようね」と赤ちゃんに話しかけること、そしてその当日には「おしまいにしよう」とか、「今日からごはんだよ」とか、お話ししてあげるといいようです。
お母さんの側にも未練と不安がつきまとうみたいですが、やはり直感と決断が大事のようです。

乳製品については、牛乳、チーズなど、それからバターが好きな子は多いみたいですよ。
そのままかじりついてしまったお子さんもいたと聞きましたが、これは極端な例でしょう。
温めた牛乳に溶かしたり、魚など、好みの食材をバター炒めにするのもいいでしょう。
いずれにしても、赤ちゃんの好みをよく観察しながら調理してあげてみてください。



[相談者ご夫妻からの返信]
一昨日の夜から、おっぱいがはった時と、赤ちゃんが欲しがって泣いた時だけに授乳をするようにしました。
今までは、夜中も2時間半毎にアラームをかけて、寝ている子を起こしておっぱいをやっていました。無理やり起こすので、子供がすごく泣いていました。 
授乳後のおしめ換えの時も大きな声で泣いて、身をよじって暴れていました。 
寝付くまでも、長い間グズグズと泣いていました。


一昨日は、とても久しぶりに夜中のアラームをかけずに眠りました。 
それだけでもとても嬉しく、のびのびとした気持ちで床につくことが出来ました。
夜中に自然に目が覚めて、楽に起きる事が出来ました。時計を見ると、前の授乳から3時間半が経っていました。

やがておっぱいが張ってきたので、子供を胸に抱いてみると、ちっとも泣かずにすんなりとおっぱいを飲みました。
その後おしめを換えてあげると、毎晩泣き叫んで暴れていた子が、とても静かで大人しかったのです。 
眠っているのかなと思ったら、ちゃんと目を開いていました。
びっくりする程、穏やかな優しい笑顔で、じっと私の顔を見てくれていました。
布団に戻すと、ちっとも泣かずにすやすやと寝ました。

今まで赤ちゃんの為と思って、夜中も2時間半毎に授乳をしていたけれど、赤ちゃんは「イヤだよ」と訴えてくれていたんだと分かりました。
その後はもう、昼も夜もアラームなどかけず、おっぱいと赤ちゃんだけを目安に授乳をしています。

時間を決めてやっていた時は、赤ちゃんが乳首を噛んだり、引っ張ったり、よそ見をしたり、泣きながら飲んだりしてだらだらと時間がかかったのですが、欲しがる時だけにあげるようにしたら、よそ見をせずにごくごくと飲んでくれます。

酷く荒れて四六時中薬とガーゼが必要だった乳首も、2時間半毎の授乳を止めた途端に薬要らずになりました。

通っていた相談室では「2時間半ごとにお乳をやるか、さもなくば断乳をするかどちらかだ」と言われていたので、体力が続かず、もう断乳するしか道が無いと諦めていました。

今は、自分の身体と赤ちゃんに合わせて授乳をしていったら、きっと大丈夫だと感じています。 

体調が徐々に回復してきて、久しぶりに子供を可愛いと感じながら楽しい育児が出来るようになりました。

メールでのやり取りを終えて、本当に素直なお母さんで良かった、と思いました。
このままの育児を続けていたら、お母さんの体も心もボロボロになっていたことでしょう。そして、泣いて暴れる赤ちゃんのことを鬱陶しい存在に感じてしまうようにもなりかねません。

さらに、赤ちゃんのほうはどうでしょう?
夜中に無理矢理起こされ、泣いて暴れて抵抗しているにもかかわらず、無理矢理お乳を飲まされる・・・・その不満がおさまらないうちに、今度は寝かしつけられる・・・。

こういう親子関係が、将来にどのような影響を及ぼすでしょう?

幸いなことに、今回の相談者は、そんな育児のあり方に疑問を感じるという素直さをお持ちでしたし、正直に反応してくれる敏感な体をお持ちでした。
だから、「これ以上は危険だ」という所で行動を起こすことが出来たのです。


同じ様な疑問を持ったことのあるお母さんもいらっしゃることでしょう。
しかし、専門家によるマニュアル通りの厳しい指導によって、その疑問を無視するしかなかった、というお母さんが多いのではないでしょうか?


今回頂いた相談と報告は、育児に携わる人にも、そして体に合わない健康法・養生法を辞められない人にとっても、大変参考になる実例だと思います。
改めて、赤ちゃんやご自身の体の声に根ざした生活法を多くの人に実践して頂きたいと願います。

※実際に頂いたメールには、丁寧な挨拶やお礼の言葉も綴られていましたが、その部分は省略して掲載しました。また本文及び当方からの返信文も、一般の方に分かりやすいように校正を何度か加えています。

 


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